クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ



 彼が寝返りを打って、私の背中にくっついてきた。



「……結衣」


 寝言なのか起きているのかわからなくて、何も言わずにまぶたを下ろす。
 もし寝言だとしたら、こんなに愛しい夜は何度でも味わいたい。




「寝てる?」

 温もりが一層混じり合って、心地よく夢の世界に導かれそう。
 彼が起きていると気づいた瞬間、こんなことが前にもあったと思い出していたら、そっと抱きしめられた。





「強がりで素直じゃないところ」


「気持ちを隠せない、おしゃべりで可愛い目」


「仕事に妥協しない真面目な性格」


「俺の好きな料理を作るところ」

 不意に囁き声で打ち明けられた会話の続きに、大きく鼓動が鳴る。



「他にもあるけど……やっぱり俺がいないとダメなんでしょ?」

 髪に触れたやわらかさが彼の唇だと気づいて、思わず目を開けそうになった。



「全部好きだよ。もう離れるな」

 彼はそっと私の手を取って、輪にした金色のリボンを左薬指に通してから手を繋いだ。



「バレンタインの返事、受け取って」



 嬉しさと感動と、突然のことに驚いて言葉が出なくなる。



 この手から溢れてしまうほどの愛情がほしいから。

 これからもずっと……眠ったあとで、キスをして。


                ―fin―



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