クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「そこ、改行したほうがいいよ。あとグラフの色はもう少し派手にしたほうがいいかも。スクリーンで使う資料なら、だけどね」
コンビニの袋を無造作に置いて、前触れなく現れた美形に、私は色気のない眼鏡の奥で目を泳がせた。
指先でフレームを持ち上げながら動揺をごまかすも、彼は一層近づいてきた。
「腹、減ってるんでしょ?これ食っていいから」
信じられない……!
聞こえてたとしても、わざわざ言わなくたっていいじゃない!
「……いらないなら、俺が食うけど」
「いただきます」
海苔を纏わせて、一気にかぶりつく。
このタイミングで頬張る梅のおにぎりには敵いっこない。ひと粒ごろっと入った梅の実は、疲れた身体に染みわたる。酸味で顔のパーツが中心に寄って変顔になろうとも、日陰で地味な私に『女子力』を飾る必要はない。
「くっ……」
「なんですか」
咀嚼する私を眺めて、堪えきれなかった様子で笑いだす柏原さんに疑問を投げる。
「すっげー美味そうに食うんだもん。なんか、ペットみたい」
地味な私を面白がるなんて、なかなか嫌味な性格だ。