クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「あの……走り書きなんですけど、こういうのってどうなんでしょう」

 部の片隅に積んである、再利用のコピー用紙の裏に並んだ文字。


「例えばですけど、片想いの時からつきあうようになるまで、恋人の時間、結婚するまで、家族になってから。そういういくつかの節目に色を添えるインテリアって、ありきたりですよね……」


「やってみたらいいよ。踏み出さないと始まらないし、引き返してもいいんだから。他社にないモノを作れるのが1番いいけど、これが当たれば売上げに直結するような大きな利益が出せるかもしれないしね」

 いつも日陰で、ひたすらパソコンと向きあう地味な私が、ようやく報われる時が来る。誰かの手助けじゃなくて、自分が企画したもので仕事が回せる。


「もう少し具体的に練ってきてもらえる?急がなくてもいいけど、なるべく早く」

 千堂部長のほうでも考えてくるからと言われて、0打ちから前進した今日の時間は、入社以来5本の指に入る充実度だ。デスクワークを下に見るわけじゃないけれど、商品企画部にいるなら、こういう仕事がしたいって思うのは当然のことなんだって、今までの地道な日々が報われた気がした。


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