クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「まだ、ここから先を知らなくて……それでも、いいですか?」


 驚きをありありと灯した彼の瞳。
 深く絡み合った指が、わずかに緩む。


「ごめん」

 影が引いて、見慣れた天井が寂しい。
 私に覆いかぶさっていた柏原さんの匂いも遠退いて、1人残されたようで……。


「そ、そうですよね。困りますよね」

「困るよ、そんなの言われても」

 腕をグイッと引かれ、起き上がった半身を彼が受け止めた。


「ごめん……止められなかった」

 ドキドキと打ちつける音が、彼の胸の奥から聞こえてくる。

 ふと見上げれば視線が交わり、少し照れたような表情を目前に、私は言葉を失った。


「俺で染めていいなら、大切にしたい」

 おでこに触れた彼の唇は、優しくて誠実で暖かかった。


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