クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 潤んだ私の瞳に気づいた彼は、1つ1つをゆっくり進めようとしてくれているのが分かる。
 強引に私の気持ちを引き寄せなかったのと似ていて、彼の優しさを思い知らされていくみたいだ。


「……いい?」

 確認してきた彼の顔があまりにも穏やかで、これから始まる色々とあまりにもかけ離れている。
 きっと彼は、今までの彼氏とは違うはず。
 全部違う恋をしているけれど、柏原さんとならイイ恋ができるんじゃないかなって――。



「私、その……」

「なに?」

 ちゃんと言わないといけない。
 ほぼ100%の確率で、“経験済み”と思われているに違いない。

 誰かとつき合うたびに必ず訪れるこの瞬間が、すこぶる嫌いだ。
 彼の目をちゃんと見て、どんな反応をされるのか不安が押し寄せてくる。


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