クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 時計は既にランチタイムを過ぎ、15時前。もしかしたら、と思って仕事に没頭していたけれど、柏原さんからの返事は一向に届く気配がない。

 もしかして、ウザがられた?
 社内恋愛禁止なのに、思い切り過ぎたかな……。引かれちゃってたら嫌だな。

 っていうか、行けないなら行けないで、それなりに返事をしてくれてもいいのに。



「ちゃんと食べないと、企画の舵取りは上手くいきませんよ?」

 デスクの端に置かれた紙袋は、近くのカフェのロゴが入っていて、折られている袋の口からほんのりコーヒーの匂いがする。


「……ランチ、行ってないみたいだったから」

「あ、ありがとう、ございます……お気遣いいただいてしまってすみません」

「頑張ってるから、ごほうびね」

 カフスを外して、Yシャツの袖を慣れた手つきで捲る仕草に目が留まる。
 千堂部長は、いつどこで何をしていても似合っている。無理なく完璧に映る姿は高嶺の花そのもの。だからこそ、何を考えているのか分からない。


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