【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
純粋な片思いなんて何年してないだろう?
相手を思って苦しくて、
報われないとわかっていても、どうしようもなくて。
男を誘うことなんて出来なくて、
方法も手段もなくて、ためらうばかりで。

切なくて心臓が壊れそうで、
でも、ふとした瞬間の彼の微笑み一つで、
今度は心臓が跳ね上がって、
体中の熱が上がって、
今度は体の熱で死にそうなくらいクラクラする。

唇が触れただけで気がおかしくなりそうで、
指先がふれただけで全身が甘く啼く。

「まあなあ、これはダメそうってあっさり計算出来たら、
さくっと、ひいちゃうもんな、私なんて……」

宮坂先生は、個人的には、いい男だと思う。
なんていうか、

ルックスがすごくいいってわけじゃないけど、
女性を引きつける色気があるし、
性格もさっぱりしてて、男っぽい。

まあ、声も深くていい声だし、
現役で柔道を教えているだけあって、
体も悪くないよね?

それに公務員だし、教職だし。
実家は東京出身だし、条件はよかったもんなあ……。

と、冷静に判断して、
ちょっと惜しいことしたかな?
なんて思ったりもするけれど、

最初の時点で、彼を追う佳代ちゃんの視線。
そして、彼を見つめていると気づいてしまう、
ふとした瞬間に、徐々に熱を持つ瞳で
佳代ちゃんをこっそり見ている彼の視線。

「あんなんみたら、
勝算低いのって丸わかりだもんな」

ふぅっとため息をつく。
例の彼女のことを別にしたって、
最初っから勝負は見えていた。

さりげなく誘いをかけても、
気づいていないふりをして躱されて……。

諦めるのにちょっと時間がかかったけど、
佳代ちゃんみたいに、
ハイリスクローリターンな恋愛に、時間は裂けない。

だから自分の選択肢が間違ってはいないのだけど……。

あの二人を見ていると、
人生の選択肢、ちょっと誤ったかもな~。

……なんて考えてしまったりする……。
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