マイノリティーな彼との恋愛法


「俺は春野さんの好きな年上の男性には絶対になれません」

「………へ?はひひゅうひ?(なに急に?)」


神宮寺くんが食べ終わったから私も早く食べちゃおうと思って、口の中にパンパンに焼肉とご飯を詰め込んだタイミングでそんなことを言われたので、もはや言葉にもならない返答をヤツに投げかけた。


「髭も生やしてませんし、マッチョでもありませんし、タバコも吸わないし声もセクシーじゃないです。拳銃も構えません」


話を聞いているうちに、最初の頃に話した私の理想のタイプだと気づく。
改めて聞くととんでもないことを口走っていたんだなあと実感する。そんな人が現実にいたとしても、拳銃を持ってる時点で警察官じゃないとマズすぎる!

そう思っていたら、ヤツが極めつけのオチを吐いた。


「冷静に考えたら、現実的にそういう人ってゴルゴ13くらいしかいませんよね?」

「ゴホッ」


まさかのゴルゴ13に吹き出して、涙を流すほど笑ってしまった。
好きな俳優が出ていたドラマの役をイメージしていたのに、一瞬にしてゴルゴ13に塗り替えられるという奇跡!


「あぁ、もうなんか発想がさすがだね。お見それしました、神宮寺くん」


一気に理想のタイプが「無理」なタイプになり、目の前で笑う彼が世界中で一番好きなタイプに見えてきた。
恋の魔法ってやつだ、もしくは風邪薬の副作用。


「ゴルゴ13に比べたら物足りないかもしれませんし、給料も低いので共働きになるかもしれませんけど、幸せは保証します」

「…………はい」

「あなたじゃないとダメなんです」

「…………はい」

「だから俺と、結婚して下さい」

「…………………はい」


交際ゼロ日で、プロポーズ。
言ってほしい言葉を、全部言ってくれた。


普通じゃない男の称号はダテじゃない。
神宮寺くん、さすがマイノリティー!










< 166 / 168 >

この作品をシェア

pagetop