マイノリティーな彼との恋愛法
1人でいることには慣れっこだ。
恋人がいなくても、それなりに充実した生活を送れるということは身をもって実証済みだ。
だけど。
『ちょっと気になる人がいる』状態になってしまっていたら、話は別だ。
仕事帰り、スマホ片手に駅前のカフェでウンウン唸る。
神宮寺くんに連絡するべきか迷いに迷う。
電話番号しか知らないヤツの連絡先。なかなか厄介だ。
電話をかけるしか連絡を取る手段がないのだから。
エスプレッソショットを追加した苦めのホットのカフェラテは、もうだいぶ冷めてしまった。
数年ぶりに気になる人を見つけると、どうしていいのか本当に分からなくなるらしい。
しかも相手が普通の男じゃないときた。
あんなマイノリティーな男をどう攻略しろと?
冷たくなったカフェラテを口に運ぶ。
かろうじて残っていた泡立ったミルクが上唇にくっついた。
バッグからハンカチを取り出そうとして、手を止める。
中に入っていたのは、ウミガメのタオルハンカチ。
ハンカチ全体がウミガメのデザインになっていて、4分の1がカメの顔、あとは緑の甲羅の模様。
ウミガメグッズをもらって1週間ほどが経ったが、この緑の甲羅の色がやけに自分に馴染んでしまった。
それから、非常に簡易的に描かれたウミガメの顔もなんだかクセになる。
そのハンカチで、上唇についたミルクの泡を拭き取った。
━━━━━しっかりウミガメグッズ使っちゃってるよ。
どんだけ気に入ってんのよ。
いい歳こいていつまで乙女モードやってるの?
ため息をついて、スマホを操作して渚へ電話をかけた。