ケダモノ、148円ナリ
「すごいじゃんっ、明日実っ」
と智子たちも褒めてくれる。

 いやー、どうもどうも、と機嫌良く、トリック、という程のものでもない指の動きを説明する。

 終わって、100円を栗原に返そうとしたのだが、見当たらない。

 どうもトイレに行ったようだった。

 仕方ない、あとで返すか、とちょうど持っていた100円ショップで買った可愛い小袋に入れる。

 こういうの好きでよく買うけど、あまり使い道がないんだよな。

 これで使える良かった、と笑っていると、貴継がこちらを見ていた。

 人がお酒を頼みに席を立ったり、トイレに立ったりして、なんとなく席が替わっていて、いつの間にか、貴継が隣りに来ていた。

 黙って呑んでいる彼に、
「……なに機嫌が悪いんですか」
と訊くと、

「何故ウケるんだ、あのしょうもない芸が」
と言い出す。

「みんな酔ってるからですよ」
と言いながら、ウケないと思ったんならやらせるな、と思っていた。
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