【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。
広いバスタブに浸かりながら、さっきのことを振り返る。
今日はしないって言ってくれたけど、いずれは那月君と……そういうことをするんだよね。
そう思うと、緊張や不安、そして恐怖にも近い感情が沸き上がる。
初めては……痛いって聞くし、それにあんなの、想像もつかない。でも、こんな高校生みたいなこと、言っていられないよね……。でも、この年齢になってまだ経験がないからこそ、恐怖心に年々拍車がかかってしまったように思う。
いい大人が、行為が怖いなんて言えない。
それに、那月君は私が経験者だと思っているわけだから、いつまでも拒んでいたら不審がられてしましそう。
いっそ、ちゃんと伝えるのも……いや、それは嫌だ。
きっと、小説やテレビ番組の影響。私の中で、男性は『処女は面倒くさい』と思っているという概念がある。バラエティ番組で、そんな話を聞いたことがあった。
はぁ、どうするべきか……。
そうだ。お姉ちゃんにでも、今度相談してみよう。
結構な時間、入浴していたと思う。
ぼうっとしてきて、少しのぼせてしまった。
そろそろ出よう……。
那月君が用意してくれた服は、本当に全部那月君のもののようで、サイズがとても大きい。
スタイルがいいから華奢に見えるのに……那月くんって、こんなに大きいんだなぁ。
スウェットを着ると、まるでワンピースのような丈になった。