イジワル副社長と秘密のロマンス
名刺を交換する姿がちらほら見える中、今日の主役である三人もそれぞれ話に花を咲かせている。
私は宝さんと星森さんと共に檀上近くの壁際に並び立ち……華やかな人々に囲まれている副社長を見つめていた。
会長のスピーチは和やかだった。
朗らかな物言いの中に、孫二人に対する厳しい言葉を織り交ぜ笑いを起こし、落ち着き払った様子から貫禄をも感じさせるようなスピーチだった。
社長は少し緊張していたようだった。
出だしこそ言葉がたどたどしくなったりもしていたけれど、しかしスピーチが進むにつれ、生き生きと頼もしさを感じさせる顔つきになっていった。
そして副社長。彼もまた会長同様、堂々としていた。
涼しい顔で壇上に上がり、澄んだ瞳を来客へと向け、微かに……口元に笑みを浮かべた。
瞳の奥の力強さが少しだけ好戦的にも見えるのに、生意気というよりも魅力的に感じさせてしまうところは、やっぱり樹君である。
祖母から経営理念だけでなく、AquaNextへの思いや願いをも引継ぎ、兄と共に力を尽くしていくこと。
それから社員と共に成長していきたいと、力強い口調でスピーチをした。
壇上の樹君は自信に満ち溢れていた。とっても輝いて見えた。