イジワル副社長と秘密のロマンス
「最近、来ないよね」
「それはね……私がひっきりなしに家に遊びに行ったら、樹君の疲れがとれないんじゃないかなとか、同じベッドだと眠りづらいんじゃないかなとか、いろいろ考えちゃって」
そんなことないと誤魔化しても、樹君には通じないだろう。私は観念して、自分の気持ちを素直に口にした。
夜中、ふっと目覚めると、樹君が起きていることが時々あるのだ。
何度か言われた“千花の寝相が悪いから”という言葉が、心の中に引っかかってしまっているのも事実である。
気持ちを打ち明けると、樹君が苦笑した。
「俺、もともと眠りが浅い方だから。でもさ、最近、ぐっすり眠れる時があることに気付いちゃったんだよね」
「仕事ですごく疲れてるとき?」
「違う。千花が隣で寝てるとき。千花は俺にとって、最高の安眠抱き枕でもあるってこと」
樹君がそっと顔を近づけてくる。至近距離で微笑みかけられ、鼓動が跳ねた。今更ながら頬が熱くなっていく。
「違う。寝てるときだけじゃないかも。こうして抱きしめてると、落ち着く。けっこう癒されてる」
そう言って、また樹君が私の首元に顔を埋めてきた。