イジワル副社長と秘密のロマンス


「浮気現場を捉えた写真。そういうことになってるけど?」


樹君が説明をすると、白濱副社長がはははっと笑う。楽しそうには全く聞こえない笑い声は、苛立ちのため息で終わった。


「こういうことはやめて欲しいなぁ。仕事に影響したら困るから」


軽蔑を露わにした冷やかな視線を浴びせられ、津口さんの肩が跳ねた。唇が震えている。


「千花ちゃん可愛いし、藤城弟が手放すっていうなら俺が欲しいなぁとは思うけど……AquaNextと仕事をしている今、軽い気持ちで手を出して良い相手じゃないことくらい俺も分かってるからね」


徐々に、白濱副社長が表情を戻していく。最後にはにっこりと笑ったけれど、先ほど見せられた冷たさが印象深くて、笑顔さえ怖く見えてしまう。


「千花ちゃん。昨日は本当にごめんね。ちゃんと持ってきたから、機嫌治してね」

「……あの。わざわざありがとうございます」


白濱副社長が歩み寄ってくる。差し出された片方の手提げ袋を両手で受け取り、私は頭を下げた。中身を確認しようとすると、ほぼ同時に近づいてきた樹君も同じように紙袋の中を覗きこんできた。

短くあっと声を上げてから、樹君が白濱副社長をじろりと見る。


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