拾われた猫。
キョロキョロと見回す。
一人だけあの現場にいなかった人がいた。
歳は近藤と呼ばれる男と同じくらいだろうか。
人が良さそうな人だ。
「香月くん、私はあの現場にいなかったが、幹部の一人なんだよ。
六番組組長の井上源三郎<イノウエゲンザブロウ>だよ。
皆は源さんと呼んでくれている」
ニコリと笑った。
「やや、そうだった。
自己紹介がまだだった。
私は新選組局長、近藤勇<コンドウイサミ>だ」
人懐っこいその笑顔は本当にこの人そのものなのだと理解できる。
「はいはい!
次俺!
八番組組長、藤堂平助<トウドウヘイスケ>だ。
平助って呼んでくれよ」
クリクリとした大きな瞳は真っ直ぐ私を映す。
犬のようなのに、フワフワとした猫っ毛の短髪はとても愛らしい。
本人はもしかしたら気にしているのかもしれない。
「じゃあ次は俺だな。
二番組組長、永倉新八<エイクラシンパチ>だ。
悩みがあったら何でも言ってこいよ」
豪快に笑う少し垂れ目なこの人は短い茶髪を立てて、手ぬぐいを頭に巻いている。
元気のいい人で、裏表がなさそう。
平助とは兄弟みたいに見える時がある。