拾われた猫。
第二章

薄桃色





「久しぶりだね、雨」



真っ暗な空間で、一際輝く彼は優雅に笑った。



私はまた彼の夢を見ているらしい。




「フフッ。

私に会えて嬉しいというわけじゃなさそうだ」



フワリと私の方に来て、緋い髪をサラリと撫でる。


不思議と嫌悪感は感じない。



「どうやらこの世界はお前にとって有効らしいな」


怪しい笑みを浮かべた。



「…どういうこと?」



私の問いに、ただ笑っていた。


何も答えないということは、教えられないという意味だろうか。



少し殺気を放ちながら睨みつける。



< 89 / 443 >

この作品をシェア

pagetop