宛先は天国ですか?
トントンという足音がわたしの近くでピタリとやんだ。
それから誰かが、わたしの隣にストンと腰掛ける。
チラッと目をやると、予想通りそれは将太さんだった。
「こんばんは」
わたしを見ないでそう言った将太さんに、「こんばんは」と返す。
挨拶をするだけで精一杯で、それ以上の言葉がなかなか出てこない。
気まずさに焦り始め、どんどんと言葉が出てこなくなる。
「あの、えっと…」
将太さんのいる方とは反対側の手に持ったプレゼントを見やる。
渡さないと、と自分に言い聞かせて、わたしは将太さんの方を見た。
暗くていつもよりも悲しげに見える将太さんに、わたしは思い切り笑いかける。
「お誕生日、おめでとうございます!」
なんとか言えて、ほっと胸をなでおろした。
将太さんは少し驚いた顔をしてから、コテンと首を傾げた。