肉食系御曹司の餌食になりました
雪とガラスのマリアージュ

◇◇◇

札幌の街に雪が降る。

葉を落とした木々も、アスファルトも建物も、全てが白く染められて、雪景色を目当てにした観光客も増えてきた。

大通公園は市が主催しているイルミネーションのイベントに加えて、うちの会社の発光ガラスのオブジェが展示され、道行く人々の目を楽しませている。

それがひと月ほど前にスタートしたことで、今日、十二月二十二日木曜日は、雪とガラスのマリアージュ企画の本番二日前。

十三時半からの会議のために、事業部の半数の社員と、総務や広報の数人が、ぞろぞろと会議室に移動していた。

明日は祝日でお休みのため、今日が最終打ち合わせとなる。


いよいよだと気合いを入れる私の隣には、智恵がいる。

彼女が張り切って話しかけているのは私ではなく、ふたつ上の男性社員、井上さん。

「それで亜弓は支社長と先月から……」と、私の恋愛について得意げに教えている最中だった。


支社長との交際は、秘密にしていない。

社内でいちゃついたりしないけど、残業後にどこに食事に行こうかと廊下で相談したり、『明日は休日。今夜はゆっくり楽しめますね』などと際どい会話を事業部内でされたこともある。

しかし……。

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