サヨナラの行方
「じゃあ、別に好きだった訳じゃないのか?」
「はい。だけど、それは自分が気づいていないだけでした。たぶん、結構前から悠月が好きだったと思います」
「亜耶乃さんを好きにならずに澤村さんか?亜耶乃さんへの裏切りの意識はないのか?」
社長から厳しい言葉が飛ぶ。
「裏切りよりも、利用して悪かったとは思いますが」
それ以上の感情は持ち合わせていない。
「これからも、好きにはならないのか?澤村さんは死んだのだろう?」
「亡くなったからって、他の人にはいきません。正直言って、彼女には好きになる要素がありません」
「和泉くんっ。それは言い過ぎじゃないかっ」
社長が声を荒げた。
迫力があるものだけど、俺は全然気にならなかった。