サヨナラの行方
ここまで話していても、常務は一言も口を挟まない。
一体、どうしたのだろう。
「…………社長、すみませんが、席を外してもらっていいですか?……イヤ、私たちが移動します」
やっと口を開いたかと思えば、そんなことだった。
社長の返事を待たずして、常務は社長室から出て行く。
「和泉くんも来て下さい」
「え?あ、はい……」
よく分からないけど、常務の言う通りについていく。
なぜ、社長を除いて話すのだろう。
社長に聞かれてマズイことでもあるのだろうか。
不思議に思いながらもついて行った先は、社長や上の人のみが使用する会議室だった。
ここに入るのは初めてだ。
やっぱり、俺らが使っている会議室よりちゃんとしている。
綺麗だし広いし、何より防音だ。