サヨナラの行方



「そもそも、不倫が暴かれた時点で悠月だけ辞めるのはおかしな話しです。僕が唆して無理やりしたのに、悠月だけなんて。あの時に、僕も辞めるべきでした」


「本当に、和泉くんからなのか?亜耶乃さんは、澤村さんからだと言っていたが」


「彼女が持っていた証拠は、僕が悠月の家を出入りする写真だけでした。それだけでは、正直証拠としては甘いです。
それに、どっちからやったかなんて、僕か悠月が誰かに話さない限り分からないことです」


「亜耶乃さんは、君から聞いたと」


「僕は家に帰っても、まともに彼女と話した覚えはありません。
それに、先に聞かれたらあんな大勢の中で暴露することなんてしません」


「あ、そうなのか……。亜耶乃さんがそういうからてっきり……」



社長のトーンもダウンしてきた。

あの女が、本当のことを言っているのか分からなくなってきたのだろう。




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