サヨナラの行方



笑いながらそう言われると、なんだか恥ずかしくなってしまう。

こんなにも無意識に表に出ていたんだ。

なのに、自分自身は何も気づかないままだったとか。

鈍感すぎるにもほどがある。

もう少し早く気づいていれば。

せめて、公になる前に気づいて素直になっていれば、こんな事態にはならなかったかもしれないのに。

それでも、あの女の場合、公になってしまっていたかもしれないけど。



……今更、こんな後悔やこんなことを考えていても遅いんだ。

何もかもが遅すぎた。

自分の気持ちに気づくのも、離婚するのも。

だけど、動かずにはいられない。

このまま黙ってあの女の隣にいることは出来ないから。

嫌々ながらに一緒にいるのは、相手にも失礼だろうし。

彼女が俺を好きでも、子供が欲しくても、俺はそれに答えられないから。


とにかく、別れよう。

全ては、そこから始まる。




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