サヨナラの行方
俺の話しを聞いて、池田は呆れていた。
「あの調子じゃ、粘ると思う。頷かせるのは無理だな」
「課長にそこまで言われているのに粘るとか、バカじゃないですか?」
「だから、待つのはやめる」
そう言って、もらってきた離婚届を池田に見せる。
「え?ちょ、ちょっと、こんなとこで広げないで下さい。私が突きつけられているように見えて嫌です」
周りの視線を気にして、池田が慌てて折り畳む。
まぁ、確かに近くに人がいるカフェで広げるようなモノではないな。
「でも、無理やりですか?書いてくれます?」
「たぶん、書かない。だから、辞表と共に置いておく」
「え?辞表も?」