サヨナラの行方
「もちろん、辞表は社長に出すけど、本気だって態度で見せないと伝わらない。言葉だけじゃ、全然変わらないから」
驚く池田は、テーブルの上に折り畳んだまま置いてある離婚届と俺を交互に見る。
「それで、池田に聞きたいことがあって呼んだんだ」
「聞きたいこと、ですか?」
「悠月の実家の正確な場所を知りたい」
「行くんですか?行っても、本人はいませんよ?」
「分かっているけど、やっぱり行かずにはいられない。行ったところで、家族に逢ってすらもらえるか分からないけど」
悠月が死んだ理由とかを知っていたら、さすがに逢ってもらえないだろう。
俺は、憎き相手だろうから。
悠月がどこまで家族に話していたかは知らないけど。