サヨナラの行方
「本気です」
「離婚は認めたはずだが」
「彼女が首を縦には振りません。なので、離婚届を置いてきました」
「置いてきたって……君は、そんな荷物を持ってどうするつもりだ?」
俺が持っていた荷物を見ながら、眉間にしわを寄せて言う。
「悠月のとこへ行きます」
「え?澤村さんは亡くなっただろう。どこへ行くんだ」
「悠月が最後にいた場所です。その後はホテルにいます」
「ホテル?なぜ、家に帰らない?」
「散々離婚の話しをしてきました。その時に、別居の話しもしました。なので、ホテルへ行きます」
「どこのホテルだ?」
「……それを教えることは出来ません。教えて、彼女の耳に入ったら意味はないので」