サヨナラの行方
ホテルの場所なんて、誰にも教えるつもりはない。
どこから漏れるか分からないから。
誰も信用はしない。
たとえ、それが上司でも。
悠月のとこへ行くとは言ったから、その辺は探すかもしれない。
それでも、ホテルの数は膨大だ。
「それだけ、澤村さんがいいのか」
「悠月以外、考えられません」
きっぱり言うと、社長は落胆した。
「しかし、これを受け取ることは出来ない」
そう言われるだろうとは思っていた。
だけど、何を言われようと覚悟は変わらない。
「受け取られなくても、意思は変わりません。お願いします」
まだ何かを言おうとしていたが、軽く会釈してこの場から離れた。