サヨナラの行方



「まぁ、詳しいことは池田に直接聞けばいいと思う。
だから、とりあえず1度、俺と帰らない?」


「え?帰る?どこへ?」


「悠月は嫌かもしれないけど、あの会社に。
もちろん、会社に仕事をするために戻るんじゃない。アイツらに見せつけるために。
結局、悠月を利用しているのかもしれないけど……」


「見せつけるって、何をですか?」



真っ直ぐすぎる瞳で、そんなことを聞かないで欲しい。

“悠月が好きだから”と口に出してしまいそうになる。

今、触れたくて必死に理性と闘っている。

だけど、最後までしているのにも関わらず、今触れるのは怖い。

拒絶されたら、と思うと怖くなる。

本当に、今更なんだけど。



「とにかく、一緒に帰ってくれないか?池田も逢いたいだろうし」


「……嫌です」




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