サヨナラの行方



走って飛び付きたかったんだろうが、課長がすばやく逃げた。

そのため、彼女は転んだ。

それに対して、誰も手を差し伸べようとはしない。

それだけでも、彼女がここの中でどう思われているのか分かる。



「あんた、こんなところで何してんの?」



転んだ彼女を見下すように、冷たく低い声で言う。

その声に、私が震えてしまう。

本当のことを言ってしまえば、私もこうなりかねない。

2度と話しかけられることもないかもしれない。

やっぱり、全ては言えない。



「何って、私たち夫婦の邪魔をする人を排除するんです」



起き上がりながら、そんなことを言う。

この人、頭おかしいんじゃないだろうか。




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