サヨナラの行方



俺に気づいた池田が、呆れたように言う。

イヤ、俺に言われてもなんともならないし。


よく見ると、常務がいなくなっている。

それでまた、強気で言っているのか。

悠月は悠月で、顔色一つ変えずあの女を見ている。

ちょっと怖いな。

だいたい、渡さないとか聞こえたけど、何の話しをしている?



「あの子が悠月に向かって、冬馬さんは渡さないっ。なんて言っているんです」



池田は、人の心が読めるのか?ってぐらい的確に答えた。

ちょっと待て。

渡さないも何も、俺は誰のモノでもないし。



「あ、冬馬さんっ。私は、絶対に誰のモノにもならないから、待っていて下さいね」


「は?」



つい、不機嫌な声が出てしまった。




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