全力片思い
手に取り開いて見ると昨日自分が書いた文字に書き足されていた。


【私も笹沼くんのように、自分の気持ちに蓋をする。柳瀬とはずっと友達でいたい】

【頑張れ】


返事は短い三文字の言葉。


けれどそれは予想外の言葉だった。

てっきりまた冷たい返事が書かれているとばかり思っていたから。


【皆森さんには無理じゃないの?】とか【だからなに】とか……。

それなのに【頑張れ】だなんて。


「萌ー、どうしたの?」

立ち尽くしている私に声を掛けてきた光莉。

「あっ、ううん! なんでもない」


慌てて紙をポケットにしまい上靴に履き替えた。

「早く教室に行こう」

「うん」


この手紙はお守りにしよう。

これから先の未来、強くなれるように。

好きな人の幸せを願えるようになるように……。


想いを胸に光莉と共に教室へと向かっていった。
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