全力片思い
私は柳瀬の笑顔が好き。だから――。


おもむろにバッグにしまったノートと筆箱を取り出した。

そしてノートを破き、ペンを滑らせていく。

それを適当な大きさに折り、バッグにノートと筆箱をしまって席を立った。


放課後の廊下はシンと静まり返っていて、外から運動部の威勢の良い声が聞こえてくる。

自分の足音が響く廊下で手にしていた髪をギュッと強く握った。

昇降口に辿り着き、周囲を気にしながらある人物の下駄箱を確認する。


誰もいないよね?

再度周りを見て誰もいないことを確認し、扉を開けて手にしていた紙を入れた。

すぐにそのまま逃げるように学校を後にした。


もう二度と進み道を間違いたくない、後悔したくない。

このときの私の決断は間違っていなかったはず。

きっとこれが私の正しい進む道だと思いたい。



次の日の朝。

いつものように光莉と登校し昇降口で上履きに履き替えようと下駄箱の扉を開けると、折りたたまれた紙が入っていた。

それは見覚えのある紙――。
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