全力片思い
せめて早く元気を取り戻して欲しい。

またいつものように笑顔を見せて欲しい。


胸が熱くなる。

目の前で泣くカレのことを思えば思うほどに――……。


『お疲れさま。……早く元気になってね』


心の中でそっと囁き、カレの肩に広げたタオルを掛けた。

早く泣き止んで欲しい一心で。


タオルを掛けた瞬間、わずかに震える身体。

けれどすぐに弱々しい声が聞こえてきた。


「……サンキュ」


ううん、そんなことないよ。
全然だよ。


ゆっくりとその場を後にした。


泣いているカレになにも言うことができず、渡しただけのタオル。

それだけで精一杯だった。

タオルを渡すだけで、精一杯の勇気だったんだ――。
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