恋して愛して


全員の自己紹介が終わって、堀先生は口を開く。

「はい、じゃあ自己紹介聞いた上で、学級委員を決めたいと思います」

「先生が決めるって事?」

「そう。じゃ、発表します」


急に教室が静かになった。

「まず、女の子は、中武さん」

…え、私?

「で、男子は…藤崎くんにお願いします。はい拍手」

恭介君が?私と学級委員?

何が何だかわからない。

自己紹介の基準はどうなってるの。

私、数学嫌いって言ったし。

適当に選んでるとしか思えない。

とにかく、私はその後の委員会決めを進行した。

もちろん恭介君も一緒に。



やっと放課後。


「なんか、今日は色々とあったけど元気だしていこうー!」

翔君はよくわからない言葉を残して、部活に向かった。

花恋も、用事があってすぐに帰っちゃった.


気がついたら、教室に恭介君と二人きりになってた。

「行くぞー」

恭介君はあえてなのか、それしか言わなかった。

私は喜んで行ったけど。


帰り道が凄い早く感じたのは、久しぶりだったからかな。
分からないけど。

「じゃ、また明日」

「恭介君…!」

私は何故か、呼び止めてた。

なにがしたいわけでもなく、どうしよう。

「あ、学級委員がんばろうね!」

とっさに思いついた事を言う。


「ああ。適当にがんばる」

適当に、と言いながらもちゃんとやってくれるのが恭介君だよね。

なんて思いながら、恭介君の背中を見送る。


担任の先生は、不思議な人だけど。

とにかく、恭介君と学級委員になれた。そのことは感謝です。


そんなことより私は、恭介君に話さなくちゃ。
恭介君が話してくれたみたいに、素直にはっきりと。

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