理由は聞かない
prologue
なにもこんな時期に、と、その時はそう思うので精一杯だった。

もう少しで3月というこんなときに。年度末と年度始めの重なる、どうにもならない忙しい時期に。

目の前に広がった状況を恨んだ。でも恨んだところで、なにもないのだ。ひとつの、人生における区切りがついただけだ。

陽太に、別れてほしいと言われた。好きな子が出来たから、なかなか会えなくて寂しくて、芽衣子はしっかりしているから、うんぬんと、なんかいろいろ言っていた。

とりあえず、気持ちはここにないらしい。
ならば、仕方ない。

頼んだコーヒーと同じぐらいの速度で、自分の気持ちが冷めていくような、おかしな感じがした。
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