理由は聞かない
七海には、なんの罪もないのに、陽太と別れた時、何度も謝られた。最初のきっかけは、確かに七海の紹介だったけど、その後の付き合いに七海の責任はない。ただ、私と陽太の問題だ。七海は優しすぎる。看護士の仕事をしているけど、その優しすぎる性格が心配でもある。

支払請求と事故受付FAXをひとまとめにして席につくと、電話が鳴った。事故相談課と表示されたので、すぐに電話を取った。

「FAX届いた?」

このタイミングで、久保さんが担当なのは、一番避けて通りたかった。でも、仕事だ。仕方ない。

届いたことを伝え、取得する書類を確認すると、久保さんから契約者に再確認してほしい事項があるということで、メモを取った。

「相手の…」

聞きたいことは、なんとなくある。でも、仕事とはあまり関係ない。陽太はあくまで「事故の相手方」でしかない。

「え?何?」

我に返った。
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