呆れるほど恋してる。


健が連れて行ってくれたのは、竹下通りの近くにある小さな中華の店だった。


狭くて小汚い階段を下りていくと、金色に装飾された扉が目に入る。


店内には至る所に赤い提灯が飾られていて、音楽はいかにも中華料理屋だなと思わせるような弦楽器の音楽が流れている。


ここの花茶が最高にうまいんだと言いながら、メニューを手渡してくれる。


「ありがとうございます」


御礼を述べてビールを注文する。


健も同じようにビールを注文していた。


「小籠包も美味しいし、ここは基本なんでもうまいよ」


「迷いますね」


健が指さしたオススメの商品も目で追いながら、中国語で書かれた上に小さく振っているルビを読みながら自分の食べたいものを考える。


「これ、美味しそうですね」


健オススメの小籠包を指さして言うと「このシリーズ全部食ってみるか」と他にもオススメをあげていく。


「好き嫌いある?」


「ないです」


そう答えた瞬間、彼女のスマートフォンが電話の着信のバイブを告げた。


次は順からの連絡を取り逃さないようにと設定を変えたのだ。


「……」


「……」


「どうぞ」


健に言われてせりは画面の表示を見る。


順だった。


手でどうそと再び合図をされたので、せりは頭をさげて店の外に出る。


電話に出ると、「せりさん?」とずっと聞きたかった彼の声が耳に届いた。



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