クールな公爵様のゆゆしき恋情
日が沈み月と星が空に輝き始めると、お兄様とエステルの結婚のお祝いが始まりました。

アンテス城の大広間には、大勢の人達がお祝いに集まってくれています。

アレクセイ様の腕に手を添えて、ゆっくりと大広間に入ります。

アンテス城での夜会ですから、招待客は見知った人が多く、皆さん好意的な視線を送ってくれて、私は安心して嬉しい気持ちになりました。

「ラウラ、レオン達の所に行こう」

アレクセイ様に声をかけられ、私は目線を上げました。
私だけを見つめてくれる優しい目と視線が重なります。少し切ない気持ちになりました。
私は、こんな風にアレクセイ様にエスコートしてもらう事をずっと夢見ていたのです。


アレクセイ様に優しく促され、お兄様とエステルの待つ広間の奥に向かいました。


お祝いに駆けつけたお客様に囲まれていた二人は、アレクセイ様と私に気付くと顔を輝かせました。

お兄様はアンテス騎士団の正装である黒の軍服姿。エステルは花嫁らしい白の華やかなドレス姿です。

「エステル、お兄様。おめでとうございます」

「ラウラ 、アレクお兄様 ありがとう、こんな素敵なお祝いの席を用意してくれて。ねえ、レオン、このお料理もお酒も飾ってあるお花も全部私の好きなものばかりなのよ? 本当に嬉しいわ」

エステルはとても幸せそうに、お兄様に向けて微笑みます。ダリアの花を手に入れるのには少し苦労しましたが、喜んで貰えて良かった。


「俺はエステルが良ければ何でもいい」

お兄様はエステル以外はどうでもいいようですね。

「レオンは相変わらずだな」

アレクセイ様が呆れた様に呟きます。
するとお兄様はニヤリと含みのある笑い顔になり、私とアレクセイ様を交互に眺めながら言いました。

「そう言うお前達だって随分仲よさそうじゃないか。エステル、俺の言った通りだろ?」

「そうね、今回は私の負けだわ」

負けたと言いながらエステルはどこか嬉しそうです。
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