クールな公爵様のゆゆしき恋情
一体、どうしたと言うのでしょうか?
お兄様とエステルは妙にアレクセイ様へ絡むし、アレクセイ様はなぜか慌てた様子でしたし。

私だけが事情を飲み込めていないようです。

「アレクセイ様」

私の手を引き進むアレクセイ様の背中に、私は声をかけました。

アレクセイ様が立ち止まりました。

「どうした?」

先程の話の詳細を聞こうとしたその時、広間にはダンスの音楽が流れ始めました。

初めのダンスは、今夜の主役のお兄様とエステルです。

二人は手を取り中央に進み出ると、軽やかなステップで踊り始めました。

エステルが動く度に、白いドレスのスカートがふわりと揺れます。
明るく躍動的な曲がお兄様とエステルに良く似合っています。

絵になる主役の二人に、羨望の視線が集まります。

「綺麗……」

私も感嘆のため息を吐きました。すると隣で私と同じく二人のダンスを眺めていたアレクセイ様が、言いました。

「俺達も踊ろう」
「えっ?」

私は驚き目を見開きました。
王都ではアレクセイ様の婚約者として、幾つかの夜会に出席しましたが、アレクセイ様が私とダンスを踊って下さった事は無かったのです。

ファーストダンスの曲が終わると、アレクセイ様は私の手を引き、広間中央に進んで行きました。

二曲目が始まると、アレクセイ様は私の腰を引き寄せました。
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