クールな公爵様のゆゆしき恋情
一度婚約を解消したけれど、再度婚約を交わした？
なんだかおかしな話な気がします。

かと言って何の関係も無いとは今更言えません。三曲も続けてダンスを踊ったのですから、周りからは恋人同士以上の関係だと認識されているはずです。

その辺りはアレクセイ様としっかり話し合っておくべきでした。

困ってしまった私は、助けを求める為アレクセイ様に目を向け、そして驚いてしまいました。

アレクセイ様が酷く怒っているのが分かったからです。

「アレクセイ様？」

私の呼びかけでアレクセイ様はハッとした様に表情を和らげました。

「ラウラ、しばらくエステルの所に居てくれ。俺はアメルダ男爵と話がある」

「……」

何の話でしょうか？ 私が居ては出来ない話でしょうか。

言いようの無い不安を感じました。アレクセイ様はそれに気付いたのか、私には優しく微笑んで言いました。

「大丈夫だから。直ぐに戻るから心配しなくていい」

「……はい」

二人の話が気にならない訳は有りませんが、頷くしか有りませんでした。

私はアレクセイ様に見送られ、エステルの元へ向かいました。
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