クールな公爵様のゆゆしき恋情
エステルは数人の年若い令嬢に囲まれていました。
彼女達はアンテスの高位騎士の令嬢達で、私も何度かお話をした事があります。

皆私より年下なのに、騎士の娘らしく凛としてしっかりとしていています。私は彼女達に以前から好感を抱き親しみを感じていました。

私が近付くと一番端に居た令嬢が気付き、直ぐに立ち上がりました。

「ラウラ様。ご無沙汰しております。この度はお招き頂きありがとうございます。素晴らしい祝いの席に出席が叶い、とても光栄でございます」

背筋をピンと伸ばした令嬢はが流暢に語り、礼をします。他の令嬢も直ぐに後に続きます。


「皆様、今夜はエステルとお兄様の為に駆けつけてくれてありがとう」

彼女達は私にエステルの隣の席を譲ってくれました。それからしばらく女性同士でお喋りを楽しむと、気を遣ってくれたのか、令嬢達は席を離れて行きました。

「素敵な子達ね」

エステルが葡萄酒を口にしながら、楽しそうに言います。

「はい。まだ若いのに皆しっかりしていて、私はいつも感心しているんですよ。エステルとも気が合いそうで良かったです」

「そうね。あの子達のお父様がアンテス家に仕えてくれているのは心強いわ」

エステルは次期辺境伯夫人らしい台詞を吐くと、突然表情を変えからかう様な口調で言いました。


「ところで、アレクお兄様とずいぶん仲が良いのね」

「えっ? ……そ、そんな事はありませんよ」

「今更何言ってるの? 二人の踊る姿は恋人同士そのものだったわ。アレクお兄様はラウラの事をそれは愛しそうに見つめていて、私の方が照れてしまう位ぴったりと抱き寄せていたじゃない。ラウラもとても幸せそうな顔をしていたわよ。それも三曲も続けてね」
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