クールな公爵様のゆゆしき恋情
「アレクセイ様?」

「ラウラ、俺の話も聞いてくれ」

「アレクセイ様の話?」

「そうだ。偽りは誓って決して言わない。ラウラに軽蔑されるかもしれないが、それでも真実だけを話す」

アレクセイ様とお話しとは何なのでしょうか?
予想がつきません。ですが私だけ気持ちを伝えて、アレクセイ様の話は聞かないなんて事は出来ません。

不安を感じながらも、私は小さく頷きました。

アレクセイ様はホッとした様子で、私を元いた大きな木の幹にの辺りに座るように促しました。

アレクセイ様はその隣に座り、落ち着くと緊張した様子で口を開きました。

「俺が初めてラウラを遠ざけたのは、公務でアンテスに来た四年前の初夏の事だ」

「……どうしてなんですか? 私の何が悪かったのですか?」

声が震えてしまいます。

アレクセイ様からの手紙が減ったことから、予想はしていました。ですが、私にとってあの初夏の日々は恋を自覚した、大切で愛しい思い出の日々なのです。

それすらもはっきりと否定されてしまうと、悲しくなってしまうのです。


アレクセイ様は、出来れば言いたくなかったのでしょう。とても辛そうにしながら答えてくれました。

「嫉妬で耐えられなかったんだ」

「……え?」

思ってもいなかった言葉です。どういう事なのでしょうか。

「四年前、アンテスで再会した時、記憶の中の姿とは比べものにならない位成長して女らしくなったラウラを見て戸惑った。でもラウラは屈託なく俺に接してくれたから、俺も昔の様に振る舞うことが出来たんだ。あの日までは……」
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