クールな公爵様のゆゆしき恋情
「あの日?」
何の事なのでしょうか。私には思い当たる事は有りません。
「四年前にもこの湖の屋敷に来た日の事は覚えているか?」
「はい。もちろんです」
アレクセイ様と初めてのキスをした、恋心を自覚した、私にとっては忘れられない大切な思い出の日です。
「あの日、1日公務を休んでラウラと過ごしてから、ラウラへの独占欲がますます強くなった。同時に気になりだしたのが、リュシオン・アイズナーの存在だ。あいつは四年前にはもう当たり前の様にラウラの側に居た。ラウラもリュシオンに頼り切っている様に見えたから俺は居ても立っても居られない気持ちなったんだ。それでリュシオンに剣の勝負を挑んだ」
「えっ? リュシオンにですか⁈」
信じられません。アンテス一の騎士リュシオンに、剣で勝負を挑むなんて、いくらなんでも無謀です。
「愚かだと思っているだろう?」
唖然とする私に、アレクセイ様が言いました。
「いえ、そんな事は……でもどうして勝負なんてしたのですか? アレクセイ様は誰もが認める優れた王子殿下です。リュシオンとは仕事も立場も違います。剣で競うなんて必要ないのに……」
「俺は王族の身分に物を言わせてラウラを妻にしたい訳じゃない。俺自身の力でラウラの一番になりたかったんだ。それに自信が有ったんだ、リュシオンにだって負けないと。でも結果は手を抜いたあいつに惨敗。プライドは木っ端微塵に砕け散って俺は逃げる様にアンテスを去ったんだ」
「そんな事が……私は何も知りませんでした」
「そんな情けない事を、ラウラに言える訳が無いだろう? リュシオンが何も言わなかったのは……俺への情だろうな」
アレクセイ様は、自嘲する様に口元を歪めました。
何の事なのでしょうか。私には思い当たる事は有りません。
「四年前にもこの湖の屋敷に来た日の事は覚えているか?」
「はい。もちろんです」
アレクセイ様と初めてのキスをした、恋心を自覚した、私にとっては忘れられない大切な思い出の日です。
「あの日、1日公務を休んでラウラと過ごしてから、ラウラへの独占欲がますます強くなった。同時に気になりだしたのが、リュシオン・アイズナーの存在だ。あいつは四年前にはもう当たり前の様にラウラの側に居た。ラウラもリュシオンに頼り切っている様に見えたから俺は居ても立っても居られない気持ちなったんだ。それでリュシオンに剣の勝負を挑んだ」
「えっ? リュシオンにですか⁈」
信じられません。アンテス一の騎士リュシオンに、剣で勝負を挑むなんて、いくらなんでも無謀です。
「愚かだと思っているだろう?」
唖然とする私に、アレクセイ様が言いました。
「いえ、そんな事は……でもどうして勝負なんてしたのですか? アレクセイ様は誰もが認める優れた王子殿下です。リュシオンとは仕事も立場も違います。剣で競うなんて必要ないのに……」
「俺は王族の身分に物を言わせてラウラを妻にしたい訳じゃない。俺自身の力でラウラの一番になりたかったんだ。それに自信が有ったんだ、リュシオンにだって負けないと。でも結果は手を抜いたあいつに惨敗。プライドは木っ端微塵に砕け散って俺は逃げる様にアンテスを去ったんだ」
「そんな事が……私は何も知りませんでした」
「そんな情けない事を、ラウラに言える訳が無いだろう? リュシオンが何も言わなかったのは……俺への情だろうな」
アレクセイ様は、自嘲する様に口元を歪めました。