クールな公爵様のゆゆしき恋情
丁寧に封を開け、中身を取り出しました。
装飾の無い白い便箋には、短い文章が書かれていました。
【邪魔者は身を引け。アンテス辺境伯令嬢には想い人がいる】
「これは……」
私は言葉を失い、手の中の手紙をひたすら見つめていました。
これは、私の元に届いたものと同じ手紙です。
どういう事なのでしょうか?
「アレクセイ様……この手紙はどの様にして届いたのですか?」
混乱したまま、私はアレクセイ様に問いかけます。
「ラウラから贈られてきた、卒業祝いの中に入っていたんだ」
「私から……百合の花ですね?」
私が王都に移ってから間もなく、アレクセイ様は寄宿学校を卒業されました。そのお祝いにと、私は白の百合の花を贈ったのです。
「ああ。アンテス家の使いが届けに来たものだ。だから当時の俺はラウラに近い誰かが書いたものだと思っていた」
アレクセイ様かそうおっしゃるのは分かります。アンテス家の者が届けた花に、悪戯に手紙を紛れ込ませる事は殆ど不可能です。
出来るとしたら私本人か、アンテス家の関係者だけなのです。
「アレクセイ様、私はこの手紙については何も知りません。ここに書いてある事は偽りです」
「ああ。今となれば分かる。だが当時の俺はラウラとその周りの人間への疑いの気持ちを持ったんだ」
その気持ちは良く分かります。私も同じなのですから。たった一枚の手紙が、何時までも心に影を落とすのです。
装飾の無い白い便箋には、短い文章が書かれていました。
【邪魔者は身を引け。アンテス辺境伯令嬢には想い人がいる】
「これは……」
私は言葉を失い、手の中の手紙をひたすら見つめていました。
これは、私の元に届いたものと同じ手紙です。
どういう事なのでしょうか?
「アレクセイ様……この手紙はどの様にして届いたのですか?」
混乱したまま、私はアレクセイ様に問いかけます。
「ラウラから贈られてきた、卒業祝いの中に入っていたんだ」
「私から……百合の花ですね?」
私が王都に移ってから間もなく、アレクセイ様は寄宿学校を卒業されました。そのお祝いにと、私は白の百合の花を贈ったのです。
「ああ。アンテス家の使いが届けに来たものだ。だから当時の俺はラウラに近い誰かが書いたものだと思っていた」
アレクセイ様かそうおっしゃるのは分かります。アンテス家の者が届けた花に、悪戯に手紙を紛れ込ませる事は殆ど不可能です。
出来るとしたら私本人か、アンテス家の関係者だけなのです。
「アレクセイ様、私はこの手紙については何も知りません。ここに書いてある事は偽りです」
「ああ。今となれば分かる。だが当時の俺はラウラとその周りの人間への疑いの気持ちを持ったんだ」
その気持ちは良く分かります。私も同じなのですから。たった一枚の手紙が、何時までも心に影を落とすのです。