クールな公爵様のゆゆしき恋情
それは私にとって、あまりにも衝撃的な話でした。

長い間苦しんで来た事が、実は私の思い違いだったなんて。

「ラウラが王都に移って来て嬉しかった。本当はもっと側に居たかったし、優しくしたかったんだ。でも上手く出来なかった……辺境伯殿がラウラの護衛にとリュシオンを呼び寄せたからだ。王都の暮らしに慣れないラウラはあいつを頼ってばかりだったから、俺は近付くことが出来なくなっていったんだ」

「私は……アレクセイ様が会ってくれないのは、嫌われてるのだとばかり思っていました。私は王都に親しい人は居ませんでした。リュシオンしか頼れる人は居なかったのです。でもリュシオンに対して、アレクセイ様を裏切る様な気持ちを持った事は有りません。誓って言えます」

リュシオンの事は信頼しています。家族の様に親しみを感じています。ですが、それはアレクセイ様への気持ちとはまるで違うものなのです。

「ラウラは疑われる様な行動はしていない。それはあの頃から分かっていたんだ。それでも俺は常に嫉妬に苛まれていた。疑心暗鬼になっていたんだ。そんな時に手紙が届いたんだ」

アレクセイ様は、上着のポケットから、少しくたびれた白い封筒を取り出しました。
どこかで見覚えのある様なそれを、アレクセイ様は、私に差し出しました。

「……中を見てもいいのですか?」

「ああ。元々ラウラに見せようと思って持ち歩いていたんだ」

私に見せようとしていた?
手の中にある封筒はよく見ると、所々に汚れが有ります。
最近届いた手紙では無いのだと思いました。
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