クールな公爵様のゆゆしき恋情




目が覚めて、少しの間ぼんやりとしてしまいました。

夢の余韻が身体に残っています。幸せと切なさでいっぱいで直ぐに意識を現実に戻せなかったのです。

溜息を吐いて私はゆっくりと身体を起こしました。

ベッドから立ち上がり窓辺に向かい、カーテンを開きます。

外は明るく晴れ渡った空が広がっています。中庭のずっと先にはキラキラとした湖面が見えました。

移り住んだ湖の別宅での初めての夜。
そのせいか久しぶりにアレクセイ様の夢を見てしまいました。

あれは四年位前の事です。王都の寄宿学校で学んでいたはずのアレクセイ様が、アンテスへ来る事になったのです。

アンテス領と国境を接している、隣国リドバルド国との関係で王族としての仕事が有る為いらっしゃったのだと聞いていましたが、政治の事については蚊帳の外の私は、ただアレクセイ様と再会出来た事が嬉しくて、子供の頃の様に後を付いて回っていました。

アレクセイ様は、少し困った顔をしながらも受け入れてくれました。今思えば忙しい中、私の為に時間を作ってくれていたんだと思います。

あの頃のアレクセイ様は、アンテスでのんびりと過ごしていた私よりもずっと大人びて見えましたし、実際大人でした。

そんなアレクセイ様と過ごす内に私の意識は少しずつ変わっていきました。


そして、このお屋敷に遊びに来た時に初めてのキスを交わし、私の中でのアレクセイ様への好きはそれまでのものとはっきりと形を変えたのです。
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