クールな公爵様のゆゆしき恋情
無理をしているアレクセイ様にあれこれ言っては、余計疲れさせてしまうだけでしょう。

私は当たり障りない言葉を返しました。

「ありがとうございます。社交辞令でも嬉しいです」

アレクセイ様のお顔が曇りました。私の返事が気に入らないのでしょうか。

これは、また文句を言われてしまいそうです。
来るで有ろうきつい言葉に身構える私に、アレクセイ様は全く別の事をおっしゃいました。

「ラウラ、明日城下街へ出てみたい。具合が悪くないのなら付き合ってくれないか?」

「私が、ですか? 」

驚き戸惑う私に、アレクセイ様は頷きました。

「そうだ。もう宴席の支度は終わったのだろう?」

「は、はい。ですが……」

どうやら王都に居た時の様なきついお言葉を投げつけられる心配は無さそうです。
ですがアレクセイ様と共に出かけるなんて、私には無理です。

かと言ってはっきり嫌だと言うのはいくら何でも失礼ですよね。返事が出来ないでいると、アレクセイ様は明日の予定を説明しはじめました。

要約すると、明日は朝早くに城を出て、城下街を見学するとの事です。
アンテスの城下町は4年前に来たきりなので、私に案内をして欲しいとの事でした。

アレクセイ様がどんなものを見たいのかが分からない為どんな外出になるのか想像がつきません。
正直言って不安でいっぱいですが、半ば強引に私の同行が決まってしまったのです。

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