クールな公爵様のゆゆしき恋情
「私の事をあれこれおっしゃる前に、アレクセイ様だってご自分を省みられたらいかがですか?」

「どういう意味だ?」

アレクセイ様が怪訝な表情になります。

「先ほど敵に背中を向けて逃げ出したではないですか。しかもあの3人に対して、いかにも決闘する様な言い方をしていたのですから、結果的には騙した事になりますよね? 王都では勇猛果敢と名高いアレクセイ様のお姿とは思えませんでした」

「あ、あれは、俺があんな所で問題を起こす訳にはいかないだろ? それにラウラが居るのに危険な事は出来ない。言っておくが俺は怖気付いたんじゃないからな! 許される状況だったらあんな奴ら軽く叩きのめす事が出来るんだからな。誤解するなよ?」

アレクセイ様は長々と言い訳を語っていらっしゃいます。

そこまで必死に弁解する事なんて無いのに。なんだかおかしくなってしまい、私はつい調子に乗って言いました。

「女性を庇い、あんな大柄な男性達の前でも怯まないアレクセイ様に王族の誇りを見出して感動しました。それなのに突然の逃亡ですから、私、とても驚いてしまいました」

アレクセイ様はきりきりと歯軋りの音が聞こえて競うな程、悔しそうにしています。

ちょっと言い過ぎてしまったみたいです。私としてはもう十分すっきりしましたし、そろそろ謝らないと後で大変な事になりそうですね。

「アレクセイ様、申し訳有りません言いすぎました、本当は感謝しているのです。あの時アレクセイ様がいらっしゃらなければ、あの女性を助ける事はで来ませんでしたから」

アレクセイ様はムッと眉をひそめます。

「お前勘違いしているみたいだが、あの女は被害者って訳じゃないぞ?」

「どうしてですか?」

私にはか弱い女性が、無理矢理連れ去られている様に見えましたが。

「男達が言ってただろ? ようやく捕まえたって、恐らくあの女は元はあいつらの仲間だったんじゃないか?」

「ええ? まさか」

「なんで、まさかなんだよ?」

「だって、あの男性達の仲間になんて見えませんでした。か弱そうでしたし、本当に怖がっていましたよ?」

「仲間内で揉めて焦ってたいただけだろ。その証拠にあの女は俺たちの事は見向きもせずに、走り去った。普通ならあの状況で自分だけ逃げたりはしないだろ? 後ろめたい事が有るから逃げるんだ」

< 82 / 196 >

この作品をシェア

pagetop