クールな公爵様のゆゆしき恋情
お城に戻ってからアレクセイ様と一緒に夕食を頂きました。

広いテーブルで向き合っていますが、会話は有りません。今日の朝食迄はアレクセイ様から何かとお話が有りましたから、やはりアレクセイ様は広場での出来事を気にされているのでしょう。

気まずく思いましたが、私から話しかける事も出来ずに、沈黙が続きます。


言葉は無くてもアレクセイ様の姿は自然と視界に入ります。

染料を落とした髪はいつもの豪奢な黄金色へ。黄金の髪の合間から覗く深い青の瞳は、憂いを帯びている様に見えます。

王子として生まれ育ったアレクセイ様の食事の所作はとても洗練されていて美しく、つい目を奪われます。

アレクセイ様の完璧な王子そのものの姿は半年前と変わりません。少し髪は伸びたのでしょうか。でも些細な変化です。あの頃から何が変わったのか、外からは窺う事が出来ません。

本当にどうしてアレクセイ様は変わったのでしょうか。

私が王都から離れた半年で、変わるだけの何か特別な事が起きたのでしょうか。

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