クールな公爵様のゆゆしき恋情
解放された気持ちになりながら、お城の中庭に向かいました。

中庭の先には騎士達の詰め所が有ります。お父様達の護衛として王都への旅に同行していたリュシオンが居るかと思ったのです。

少し探して、お城に繋がる外廊下を歩くリュシオンの姿を見つけました。

「リュシオン!」

声をかけ小走りで近付くと、リュシオンは優しい笑みで迎えてくれました。

「ラウラ姫、ただいま帰りました」

「お帰りなさい、リュシオン。お父様達のお出迎えの時姿が見えなかったからどうしたのかと思っていたの」

今日のお父様の護衛はリュシオンではなく、リュシオンの部下の若い騎士だったのです。とても珍しい事でした。

リュシオンは少し困った様な表情になりました。

「フェルザー公爵閣下がおいでとの事ですので、城近くの護衛は部下に任せました」

「そうなのですか?」

お父様の護衛の事になぜアレクセイ様が関係するのでしょうか。

不思議に感じましたけれど、それより先に聞かなくてはならない事が有ります。

「リュシオン、少し時間を取れませんか? 聞きたい事があるのです」

「はい。ではこちらへ」

リュシオンは私が来る事を予想していたのでしょうか。慌てる様子も無く、中庭の端に有る、東屋へ案内してくれました。

ここは憩いの場として作られていますが、近くに騎士の詰め所と女官の詰め所がある為か、あまり使われてはいない様です。

今も辺りに人影は有りません。
あまり大きな声では話せない内容ですので、私にとっては都合が良いのですが。

私は屋根の下に設えられた長椅子に腰をかけました。
リュシオンは座る事なく、私から少しの距離を置いた場所で立ち止まります。
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