クールな公爵様のゆゆしき恋情
なぜアレクセイ様がここに居るのでしょうか。

お母様達とお話をされていたのでは? いえ、それよりもなぜそんなに冷たい目で私達を見るのでしょうか?

アレクセイ様の冷ややかな視線は、以前王都でアレクセイ様に疎まれている時に向けられていた視線です。私はかける言葉を失いました。

何も言えないでいるその間に、アレクセイ様が足早に近づいて来ます。全身から怒りが立ち上っている様な気がして、私は震え上がりました。

アレクセイ様が私の目の前まで近付こうとしたその時、リュシオンが私の視界を塞ぐ様に立ち塞がりました。

私からはアレクセイ様の姿は見えなくなりましたが、その代わりに苛立った声が聞こえて来ました。

「そこをどけ!」

その迫力に私はビクリと肩を震わせましたが、リュシオンは怯む事無く、それでいて決して好戦的ではない穏やかな口調で返しました。

「どうか気をお静め下さい。ラウラ姫が怯えています」

けれどアレクセイ様は落ち着くどころか、ますますいきり立ってリュシオンに詰め寄りました。

「お前の出る幕ではない。ラウラと話が有るからお前は下がっていろ!」

「今の状態の公爵閣下と、ラウラ姫を二人きりにする訳には参りません」

「なんだと!」
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